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骨髄腫における「治癒 対 (病態の)コントロール」
【日本の顧問医師のコメント】 FISH骨髄腫はその腫瘍化に関わる遺伝子異常は単一ではなく、 複数にあることが明らかにされており、これによって高リスクと標準 −低リスク群に層別化され、治療戦略が立てられるべきである。こ の点を的確にRajkumar教授は指摘している。 骨髄腫は疾患としての表現型は単クローン性形質細胞の腫瘍性 増加であるが、これを引き起こす遺伝子異常は単一ではなく、複 数にあることが明らかにされてきた。FISHによるt(4;14),t(14;16), t(14;20)などの相互転座、 13染色体の欠損、17染色体p13(p53), 1番染色体q21(CKS1B),NRASやKRAS2に突然変異のあるもの などは高リスクであることが知られ、染色体3, 5, 7, 9, 11, 15, 19, 21に重複のあるhyperploidyやt(11;14), t(6;14)の相互転座例な どは低リスク−標準リスクとされている。 高リスク群の患者さんに対しては強力な化学療法が、標準リスク の患者さんには疾患コントロールの治療で対処すべきであるとの 主張である。 我が国ではこれらの遺伝子異常を網羅的に検出できていないた めに的確な層別化による治療選択が行われていない。今後我が 国でも遺伝子異常による層別化を行い、治療選択をおこう必要が ある。
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支持療法 多発性骨髄腫生存者に於ける移動性と 安全性について
【日本の顧問医師のコメント】 今回の記事は骨髄腫患者さんにおける運動療法の有用性につ いて述べたものです。骨髄腫患者さんは病気自体の影響で骨病 変や貧血を合併し,また,治療による副作用として末梢神経障害 や筋力低下をきたすことから,一般的には体の運動機能が損な われます。適切な運動療法を行うことで転倒や骨折を防ぐととも に,精神的にも好ましい効果が得られることが報告されています。 我が国では健康管理チームによる指導は普及していませんが, 装具や杖の使用については整形外科医や理学療法士と相談し, リハビリテーションを勧めることが重要です。
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自家幹細胞移植前の導入療法
【日本の顧問医師のコメント】 今回の内容はAntonio Palumbo先生へのインタビュ ー記事です。2010年3月25日号のBlood誌にメイヨ ークリニックからの「寛解導入療法の奏効率が 自家移植後の長期予後に関連する」という内容 の論文が掲載されましたが,Palumbo先生は同じ 号にその論文に対するコメントを発表されてい ます(「初期の奏効が骨髄腫の経過を予測する 。」Blood 115: 2332-2333, 2010)。 寛解導入療法の奏効率がその後の予後に関連 することが明らかとなりましたので,症例ごと の治療反応性に基づき,治療内容を決定するこ とが重要となります。十分な奏効が得られなか った場合には,さらに新規薬剤を追加して治療 すること,治療期間を延長すること,自家移植 を2回行うこと,地固め療法や維持療法を行う ことが提案されています。 このような治療の工夫を行うことにより,治 療効果を最大限に引き出すことが可能となるも のと期待されます。
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