【日本の顧問医師のコメント】
今回の骨髄腫の話題は,自家末梢血幹細胞移植において骨髄腫細胞の混入の程度が寛解期間とは無関係なことと,レナリドミド+デキサメタゾン療法が高リスクのくすぶり型骨髄腫において有用であることの2つです。
自家末梢血幹細胞移植は65歳以下の患者さんにとっての標準治療ですが,長期的な効果を期待するには,移植前に深い寛解に達していることが重要です。ベルケイドやレナリドミドなどの新規治療薬の登場により,移植前の状態が改善しており,その後に移植を実施することで,治療効果の改善が期待されています。
くすぶり型骨髄腫は無症候性骨髄腫とも呼ばれており,貧血や骨病変などの骨髄腫関連の臓器障害がないために,現在は無治療で経過観察されています。通常,骨髄腫の治療薬には何らかの副作用があるものですが,レナリドマイド+デキサメサゾン療法の副作用が軽微で治療効果が優れていることが証明されれば,今後早期治療が推奨されることとなるでしょう。