:サリドマイドの処方日数(14日分)の延長が可能になりました!

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サリドマイドの処方日数(14日分)の延長が可能になりました!

konishi 2010.04.01 [TERMS/レブメイト]
 サリドマイド(サレドカプセル)は、TERMSという安全管理手順にしたがって処方されています。このたび、TERMSで2週間(14日間)分と定められていたサリドマイドの処方日数が12週間分まで延長可能になりました。
 
サリドマイドが承認され、患者さんに処方され始めてからおよそ1年、患者さんや医療現場から「14日間の処方期間制限をなんとかして欲しい」という切実な声がたくさん患者の会に届きました。また、TERMSの第三者評価委員会のアンケート調査でも同様の結果がでていました。
これらの声にもとづいて、医薬品医療機器総合機構がサリドマイドの家庭における管理状況等の実態調査をしたところ、長期処方が可能であることがわかり厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(3月29日実施)において、了承されました。 
 
 
 
● 2週間分に定められていた処方日数の延長が可能になりました 
これまではお体の調子が安定している患者さんであっても2週間ごとに病院に通い、サリドマイドの処方を受けなくてはなりませんでした。サリドマイドの処方をできる病院が限られているため、2週間ごとに遠方の病院まで長時間かけて通院される方もおられ、大変不便でしたが、今後は主治医の先生と相談してサリドマイドの処方日数(1回の処方ごとに何週間分処方してもらうか)を、12週間分(およそ3ヶ月分)を超えない範囲で決めることができます。
 
 
 
● 長期処方が可能になったことで経済的な負担軽減も叶います
サリドマイドはとても高価な薬です(1カプセル6,570円)。70歳未満で、健康保険3割負担の患者さんの場合、1カプセルの自己負担は1,970円、毎日1カプセルずつ服用する患者さんでは、一ヶ月の医療費(病院で支払う自己負担。サリドマイドの薬剤費+診察費、血液検査費、他の薬剤費等)が75,000円程度になります。
この額は、高額療養費制度の自己負担限度額(80,100円)にわずかに届かず、大変重い自己負担となっていました。今回の決定によって、1ヶ月分を超える量のサリドマイドを1度に処方していただくことが可能になり、高額療養費制度の自己負担限度額にかかります。
 
たとえば、8週間56日分(およそ2ヶ月分)のサリドマイドの処方を1度に受ければ、処方を受けた月は、大変高額な自己負担となりますが(12万円程度)、翌月は診察と血液検査などの費用だけで済みます。そして、処方を受けた月に支払った12万円程度の自己負担分も、高額療養費制度の自己負担限度額(80,100円)を超えた分は手続きをすれば、払い戻しを受けられ、自己負担は80,100円に抑えられます。
 
また、80,100円の支払いが年間に3回以上あれば、次の回から窓口での自己負担限度額が44,400円に減額され、1年間サリドマイド治療をしたとして計算すると、高額療養費制度を利用すれば、患者さんが支払う自己負担は、制度を利用しない場合の半分程度になることがわかっています。治療期間が半年であっても自己負担は2/3程度になります。 
 
一度に12万円もの支払いをするのは大変ですが、医療機関や健康保険組合によっては受領委任払い手続きをすれば、窓口での支払いが限度額内だけになります。
高額療養費制度の詳細については、各病院の治療費に関する相談窓口(医療相談室など医療専門のソーシャルワーカーが常駐している病院もありますし、担当の看護師さんがいる場合もあります)や加入の健康保険組合(国民健康保険はお住まいの市区町村の窓口)で尋ねてください。または、骨髄腫患者の会サリドマイド相談窓口にお問い合わせください。
 
 
 
● 主治医の先生と相談しましょう
 長期処方(12週間分を超えない範囲)が可能になったことで、患者さんのさまざまな負担が軽減されることになりました。主治医の先生と長期処方について相談してみましょう。特に経済的な問題について、主治医の先生へ事情を説明するプリントを作りましたので、これを先生に見せてお話してもかまいません。 
 
 また、「経済的には助かるけれど、長期間診察を受けないと心配」と思われる方もいらっしゃると思います。たとえば、8週間56日分のサリドマイドを処方されても、中間の4週間目などに診察日があれば、血液検査でのチェックを受けることも体調の変化を先生に伝えることも可能です。処方期間と診察の間隔を、主治医の先生とよく相談して決めましょう。
 
 
 
● サリドマイドの管理をよろしくお願いします
 長期処方を受けると、これまでより家庭内で管理するサリドマイドの量が増えます。より慎重に薬の管理をお願いします。
主治医の先生が指示されたとおりに服用し、服用の記録をカプセルシートにつけましょう。また、薬の数量の管理のために「お薬管理シート」を主治医の先生がくださる場合は、シートに薬の数を記入して確認しましょう。シートがない場合は、このような表で自己チェックしましょう。
 
 
 
● そしてこれから  TERMSのさらなる改良のために
 本年1月から実施されたTERMSの実態調査や第三者評価機関のアンケート調査によって、TERMSには、今回改善された「処方日数の制限」以外にもさまざまな改良点があることがわかっています。
多くの関係者が、多発性骨髄腫の患者さんのサリドマイド治療のために努力してくださり、ひとつひとつよい方向に向かっています。
1歩1歩ではありますが、みなさんの闘病の道が少しでも平たんになるよう、患者の会は今後も努力を続けます。ご協力のほどお願いします。
 
 
 
 
骨髄腫患者の会 サリドマイド相談窓口
担当 上甲恭子(じょうこう きょうこ)
   090-6908-2189  (平日 10時~16時)
  Eメール : owner-imfjapan@myeloma.gr.jp