7月3日、骨髄腫の治療薬パノビノスタット(ファリーダック)が承認されました !
パノビノスタット(販売名 ファリーダック®、製造販売 ノバルティスファーマ)は、7月3日承認されました。
今後、薬価算定ならびに各病院へ納入する手続きを経てパノビノスタット治療を受けられるようになります。
このページでは、海外の臨床試験の結果をもとにパノビノスタットをご紹介します。
また、医薬品医療機器総合機構が公開している「患者向け医薬品ガイド」もご参照ください。
パノビノスタットとは?
パノビノスタットは、これまでの骨髄腫治療薬にはない新しい機序ではたらく薬です。
パノビノスタットは、カプセルの薬で口から飲みます。
パノビノスタットは、臨床試験では(試験名:PANORAMA1、世界中768名の患者さんが参加)、
「パノビノスタット+ボルテゾミブ(ベルケイド®)+デキサメタゾン(レナデックス®やデカドロン®)」 と
「偽薬+ボルテゾミブ(ベルケイド®)+デキサメタゾン(レナデックス®やデカドロン®)」のふたつのグループに分けて、どちらのグループが治療成績がよいか調べたところ、
「パノビノスタット+ボルテゾミブ(ベルケイド®)+デキサメタゾン(レナデックス®やデカドロン®)」グループの方が、治療効果が高いことがわかったため、
パノビノスタット+ボルテゾミブ(ベルケイド®)+デキサメタゾン(レナデックス®やデカドロン®)の3つの薬を併用して治療されます。
パノビノスタットは、米国では2015年2月に既に承認されています。欧州ではまだ承認されておらず、現在審査進行中です。
パノビノスタット治療はどのような位置づけ?
パノビノスタットは、ボルテゾミブ(ベルケイド®)またはレナリドミド(レブラミド®)などで治療をしたことがある患者さんがつかう薬として承認が了承されました。
ボルテゾミブ(ベルケイド®)と一緒につかう薬のため、
* ボルテゾミブ(ベルケイド®)の効果がなかった患者さん
* ボルテゾミブ(ベルケイド®)の副作用で手足のしびれ等があり、生活に支障がある患者さん
は、パノビノスタット治療の対象にはなりにくいと考えられます。
パノビノスタット治療の対象になる患者さんを少したとえると、
1) 自家移植をする患者さんの場合
* 自家移植前にボルテゾミブ(ベルケイド®)を使って、移植後に再発したとき
2) 自家移植をしない患者さんの場合
* ボルテゾミブ(ベルケイド®)で治療して休薬していて、再発したとき
* レナリドミドで治療して再発したとき
海外データからみて、このような患者さんではないかと思いますが、詳しくは、承認後、添付文書に掲載されますので添付文書公開後、追って紹介します。
パノビノスタットの副作用は?
臨床試験では(試験名:PANORAMA1、世界中768名の患者さんが参加)、下痢、末梢神経障害(手足のしびれ等)、体がだるい、血小板が減る、肺炎などによって試験を続けられない患者さんが数%ありました。
パノビノスタットは、新しい機序ではたらく薬のためまだわかっていない副作用があるかもしれません。治療に際しては、体にいつもと違うことが起きた時は担当の医師や薬剤師の先生によく相談する必要があります。
パノビノスタット治療を受けるためには?
パノビノスタットによる治療開始を早期に希望される患者さんは、主治医の先生によく相談してください。主治医の先生にどのように相談したらよいかわからない場合は、患者の会にご相談ください。一緒に考えます。
新しい治療薬が増えるのは嬉しいことですが、新しい薬はわかっていないことも多く、患者さんによっては思いがけない副作用が起きたり、期待するような効果がなかったりすることもあります。主治医の先生とよく相談してください。
なお、パノビノスタット早期承認にご尽力くださった企業ならびに審査当局、そのほか関係のみなさまにお礼申し上げます。ありがとうございました。
本件に関する患者の会問い合わせ窓口
日本骨髄腫患者の会 上甲 恭子(じょうこう きょうこ)
e-mail owner-imfjapan@myeloma.gr.jp
電話 090-6908-2189 (平日10時~16時 この時間内でも電話にでられないことがあります。時間をあけておかけ直し下さい)