骨髄腫と一口にいってもいろいろな種類があります。
以下にその分類をあげましたので、ご参照ください。
*** 骨髄腫の種類と免疫グロブリン ***
出来るM蛋白 | 病名 | |
1 | IgG | IgG型骨髄腫 |
2 | IgA | IgA型骨髄腫 |
3 | IgD | IgD型骨髄腫 |
4 | IgE | IgE型骨髄腫 |
5 | L鎖のみ(BJP) | Bence Jones型骨髄腫 |
6 | IgM | 原発性マクログロブリン血症 |
7 | H鎖のみ | 重鎖病 |
・上の表で1~5迄が『骨髄腫』です。
ベンスジョーンズ型はL鎖ばかりを作ってしまうものです。
L鎖ばかりの「ベンスジョーンズ蛋白(BJP)」は免疫グロブリンでは
ありませんが「単クローン性免疫グロブリン血症」の仲間に入っています。
・IgMだけ「骨髄腫」から、除外されていますが、これは
「腫瘍細胞の増殖の場が骨髄よりもリンパ組織が中心」だからだそうです。
*** 免疫グロブリンの種類 ***
・種類は構造上 10種類
・IgG、IgM、IgA、IgD、IgEの5タイプのそれぞれに
κ(カッパ)型とλ(ラムダ)型の2種類がある。
(→5×2=10種類)---- 詳細は「構造」の所で
*** 免疫グロブリンの構造 ***
・免疫グロブリンは「タンパク質の一種」で「鎖状になったポリペプチド」からできている。
(その「ポリペプチド」は「アミノ酸の集り」---)
・免疫グロブリンは
H鎖(heavy chain = 重鎖)と呼ばれるポリペプチド鎖と
L鎖(light chain = 軽鎖)と呼ばれるポリペプチド鎖
の組み合わせで出来ている。
・このH鎖には
γ(ガンマ)μ(ミュー)α(アルファ)δ(デルタ)ε(イプシロン)の5種類がある。
それぞれがIgG,IgM、IgA、IgD,IgEを構成している。
・一方L鎖は、各免疫グロブリンに共通で
κ(カッパ)型とλ(ラムダ)型の2種類がある
・したがってH鎖5種類 × L鎖2種類 で合計10種類の構造がある
*** 免疫グロブリンの名前 ***
たとえば「IgG」は『Immuno Globulin(イミュノグロブリン=免疫グロブリン)のγ(Gamma)鎖タイプ』ということです。
(あとは、μ(ミュー)→M、α(アルファ)→A、δ(デルタ)→D、ε(イプシロン)→E となります。)
*** 免疫グロブリンの働き ***
各免疫グロブリンの比較表がありますので以下に転記します。
抗体としての働きもそれぞれ異なっています。
表にはありませんが、IgEはアレルギー反応に関係があるようです。
表1.各免疫グロブリンの性状 | |||||
IgG | IgM | IgA | IgD | IgE | |
H鎖クラス | γ | μ | α | δ | ε |
分子量 | 15万 | 90万 | 16-40万 | 18万 | 19万 |
血清中濃度 (mg/dl) | 750-1500 | 100-200 | 150-300 | 3-6 | 0.05 |
抗菌作用 | + | +++ | + | ? | ? |
抗ウィルス作用 | + | + | +++ | ? | ? |
胎盤通過性 | + | - | - | - | - |
補体結合性 | + | +++ | - | - | - |
出典は
五幸恵 著「病態生理できった内科学 part3 血液疾患」医学教育出版社
(取りまとめ) 浮田
June 29, 2004