メルファランは骨髄腫の治療にもっとも良く使われる薬ですが、その服用の仕方には注意が必要です。
まず、空腹時に服用しないと、期待された効果を発揮しません。従って、朝起きてすぐの空腹時に服用する必要があります。
一方、メルファランと良く組み合わせて使われる薬にプレドニンがありますが、こちらは、胃の粘膜を痛める可能性があることから、食後に服用することが必要です。また、この作用を緩和するために良く使われる、H2-ブロッカー(ザンタックなど)は、メルファランの効果を減じると指摘されていますので、この点も注意が必要です。
詳しくは、以下に引用した、戸川先生の教科書をご覧ください。
1)melphalan
骨髄腫に対する化学療法の歴史は古く1940年代頃からurethanなどを用いて治療されていたが,真に寛解率の向上,寛解期間の延長をもたらしたのはmelphalan(Alkeran)でその後多数の薬剤が導入されたにもかかわらず,melphalanを凌駕するものはこれまでに得られていない。わが国では経口薬のみ認可され注射薬が手に入らない状態なのでいわゆるmelphalanの大量投与法は一般的に行うことはできない。
melphalanを経口投与する場合,食事の影響が大きいので早朝空腹時に投与する。またmelphalanはアルカリ性で効果が落ちるとされ,たとえばH2-ブロツカーやプロトンボンプインヒビターなどの制酸剤との併用投与で生物学的利用能bio availabilityが30%減ずるという。
取りまとめ、堀之内朗
June 29, 2004